ペンネーム:あきこ
プロフィール:ライター兼訪問看護師。看護師歴30年以上。訪問看護は13年の経験があり、がんやその他の疾患での在宅看取り支援の経験も多数。
今回は裕子さん(48歳)のお話。
おなかに肉がついてきて、なかなかへこまないのが目下の悩み。
お気に入りのパンツ
裕子さんにはお気に入りのパンツがあります。
ベージュの粗目の生地で、他の服とコーディネートしやすく大好きな服です。
粗目の生地が太ったことで広がっているのを感じていた去年のある日、ショックなことが起こりました。
ファスナーを閉めても、途中でファスナーが開いてくるのです。
大好きな服を自分の体形とファスナーの故障であきらめるのが残念。
捨てずにタンスの肥やしになっていました。
お友達の尚子さんとのおしゃべりで、ファスナーは修理に出さなくても自分で直せるかもしれないと聞きました。
「あら、スライダーに隙間ができちゃったんじゃない?ファスナーの歯がうまく噛み合わないのね。スライダーの歯を噛む上下の金具が平行になるようにペンチで挟んで締めてみたらどうかしら。
強く締めすぎると、ファスナーの動きが悪くなるので加減しながらやってみて。」
確かに、裕子さんのファスナーはスライダーが開いているような気がしました。こわごわラジオペンチで締めてみると、噛みあうようになりました。
ファスナーは直ったけれど、下腹のお肉をどうにかしなくちゃだめよねと裕子さんは思案。
腹筋改善計画
おなかの肉は筋肉が内臓を支えています。筋肉が衰えると下腹が突き出てきてしまいます。
男性と女性ではおなかの脂肪のつき方に違いが。
内臓脂肪で硬いポンポコリンのおなかは、多くが男性。食事のバランスを改善し、筋トレが脂肪減少に効果的。
女性は皮下脂肪でポニョポニョのおなかになる人が多いです。基礎代謝をあげ筋トレが効果的ですが、皮下脂肪は減りにくく長期戦の可能性が大。
腹筋を鍛えるのが良いことは裕子さんもわかっています。
何度も挑戦している腹筋トレーニングなのですが、何度も継続せずやめてしまいます。
首や肩のスジが張るだけで、おなかの筋肉に効いてこないのが理由。
裕子さんは、ファスナーが直った報告とお礼に尚子さんに連絡。
長電話になり、食事のバランスや歩くことは気をつけているけれど、腹筋ができない話になりました。
「腹筋の形ではなく、目的を考えたらいいのかも」と言われて、裕子さんの頭にはハテナマークがうかびます。
スポーツ選手がするような腹筋の形をまねするのは難しいから、おなかの筋肉を鍛えるような方法をしてみたらいいというのです。
次の土曜日に一緒にやってみることにしました。
腹筋に効果的な体操
土曜日が来て、尚子さんが教えてくれたのはこんな方法。
「床やカーペットの上であおむけに寝て膝を立てるの。
頭の下に手を組んで。頭はまだ持ちあげなくていいのよ。組んだ手の上に置くだけよ。
背中を中心に足を使って右回りに回るから、この時、手で頭を支えて浮かせるの。
今、頭のある場所に足、足のある場所に頭が来るように回ってみてね。
どお?大変?
じゃあ右回りに2回、左回りに2回。
あら、難なくできる?
そうしたら、今度は足を使わないで、おしりや肩の方に身体を揺らしながら、同じように背中を中心に回ってみて。」
大人がジタバタしながら向きを変える姿には、二人で大笑い。
回るのも笑うのも、おなかに効果絶大。
尚子さんはもう一つ「ドローイング」という腹筋を鍛える方法を教えてくれました。
両手の握りこぶしを、片方はみぞおちにもう片方は下腹にセット。息を吸っておなかを膨らませます。
次に息を吐きながら、両方の握りこぶしを、おなかをへこませながら近づけます。
息を吐き終わりおなかの筋肉を使ってへこんでいるのを感じたら、口からハッハッハと残りの息を吐き切ります。
裕子さんは、これくらいならできそうと2つの体操をし始めました。コツコツ隙間時間にすることで、背中を中心に回る回数も増え、ドローイングのコツもつかめてきました。
おなかの皮下脂肪は長期戦。裕子さんにとって体操は毎日のルーティンになってきたので苦になりません。こうなったらしめたもの。
ベージュのお気に入りのパンツで、風を切って歩く姿が輝きます。
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※本記事は個人の体験談をもとに作成されております。
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