ペンネーム:あきこ
プロフィール:ライター兼訪問看護師。看護師歴30年以上。訪問看護は13年の経験があり、がんやその他の疾患での在宅看取り支援の経験も多数。
文子さんは51歳の一人暮らし。23歳の息子さんは独立。
若いころは施設で介護職員をしていました。
42歳の時にご主人を交通事故で亡くし、当時中学生の息子さんと二人暮らしに。
お子さんとの時間確保のためホームヘルパーになり、訪問の合間に家事をしながら頑張り続けました。
頑張りが認められ、3年前からヘルパー事業所の責任者になりました。
1リットルの尿
ある日、尿がしたいのにトイレに行っても出ず、苦しくなり泌尿器科に駆け込みます。
管で尿を出してもらい、苦しさから解放。
出してもらった尿は1リットルでした。
私たちの1回の尿量は200-400ml位。
膀胱の許容量は500mlと言われ、1リットル溜まると痛みでつらかったでしょう。
検査の結果、尿が出なかったのは子宮筋腫が原因らしく、婦人科へ紹介状を持って受診。
子宮筋腫では、膀胱が圧迫され何回もトイレに行きたくなります。
文子さんの場合は、大きくなった子宮筋腫が尿道を圧迫したようです。
子宮の内側に筋腫があると、月経時の出血量が増え発見しやすくなります。
文子さんの子宮筋腫があったのは子宮の外側。
外側の筋腫は自覚症状が乏しく、大きくなってしまったようです。
それでも、なんとなくコブがある感じは自覚していたと言います。
出血も痛みもなく、多忙から、病院受診のきっかけがありませんでした。
ようやく身体の異変に気づき、治療を受けることになります。
仕事の調整をして、検査入院と手術入院の合間には忙しく働きました。
自宅で尿が出ない時のために、自己導尿という自分で管を入れて尿を出す方法を病院で教わり、道具も用意してもらいました。
自己導尿をすることなく、手術当日を迎えました。
開腹手術ではなく、内視鏡で子宮を取る手術ができたため、5日で退院しました。
高額療養費制
文子さんは、「高額療養費制度」を利用しました。
一旦請求額を支払いますが、上限額を超えた金額が払い戻される制度です。
婦人科の外来や入院費が自己負担限度額(文子さんの場合は8万円くらい)を超えたので、健康保険組合に申請をして、数か月後に限度額を超えた金額が振り込まれました。
この制度は、その月の1日から月末迄の医療費の計算なので、月をまたいだ治療では限度額に達しないこともあります。
また、窓口で支払った金額ではなく、保険診療の医療費が対象です。
タオルや寝具のレンタル料、差額ベッド料などは含みません。
入院や手術であらかじめ上限額を超えることが明らかな場合は「限度額適用認定証」を申請できます。
申請から1週間程度で届き、こちらの制度は支払額を一定額で止めてくれます。
急な入院や手術の時に思い出して、健康保険組合や病院のソーシャルワーカーさんに相談してみると、経済的な心配が減るかもしれません。
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※本記事は個人の体験談をもとに作成されております。
※健康法や医療・介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず公的機関による最新の情報をご確認ください。
※記事に使用している画像はイメージです。