ペンネーム:あきこ
プロフィール:ライター兼訪問看護師。看護師歴30年以上。訪問看護は13年の経験があり、がんやその他の疾患での在宅看取り支援の経験も多数。
太田さんは59歳。
数年前にパーキンソン病と診断を受け、昨年仕事の継続が困難になり早期退職しました。
奥さんと二人暮らしで、3人の息子さんは家庭をもって県外で生活しています。
ドパミンという、脳の身体を動かす指令調整をする物質が減る病気。身体の震えや動きが遅くなるなどの症状のほかに、物への無関心も一つの症状。進行性の神経難病。
不調の原因は?
ご自宅で療養しながら外来受診をし、リハビリに通っていました。
コロナ禍となり、リハビリに出かけることに不安を感じ、訪問看護で体調確認とリハビリを受けることにします。
外来でお薬の調整はしていましたが、徐々に疲れやすくなりソファーに横たわることも増えました。やる気も低下し、リハビリへの意欲も少なくなり、「病気だから仕方がない。」と言うことが多くなったのです。
あるとき、急に疲れやすくなり、息切れや、ふらつきが目立ちました。
病気の進行?
食欲が減り、飲み込みやすいおかゆや果物が多く、栄養が偏ったかも。
顔色は白くて透き通る感じ。
「あかんべえ」をしてもらうと、下まぶたの裏が肌色。いつもなら赤く毛細血管が見えるのに。
貧血?
栄養不足で急に貧血が進むのは考えにくく、身体のどこかで出血している可能性がありました。
痔は、無いようでした。
便が黒いか聞いてみると、2か月位前から黒っぽいと言い、太田さんは「食事が少ないから便の量も減り濃くなって黒っぽい」と思っていました。
便はカラダからの手紙
主治医と相談し、消化器の専門病院で検査をしたところ、胃がんと判明。
輸血で様子を見た後、手術をし、今は抗がん剤治療を受けています。
今回のことで、県外に就職している息子さんが、しばらくの期間リモートワークをして、実家で支援をしてくれました。
病気に対するあきらめや生きる意欲の低下がありましたが、体調が整ったことと、家族が協力してサポートしてくれて気持ちも安定。
症状が強くなると、治療中の病気が悪化したのでは、と思います。
でも、別の病気のことも。
変わったことや気になることは、メモしておくと診察時に相談がスムーズです。
次の診察時でも「前回のことがやはり続いています」と症状が一時的ではなかったことを伝えましょう。
便はからだの情報を教えてくれます。
胃潰瘍や胃がんなどで出血があると、便が炭のような黒い色になり、ねっとりした便になります。
肛門に近い腸での出血の時には赤い血が混じることも。
他に、白っぽい便は、胆汁の黄色が出ていない可能性があり、胆のうや膵臓の病気の可能性が。
便はあまり見ずに、水に流してしまうかもしれませんね。
それでも カナダからの手紙ならぬ、ご自身の消化器官を通った「カラダからの手紙」。
毎回、よく見てから流しましょう。
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※本記事は個人の体験談をもとに作成されております。
※健康法や医療・介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず公的機関による最新の情報をご確認ください。
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