【シニア】60歳からの英会話【趣味】
今回の寄稿者さま

ペンネーム:あきこ

プロフィール:ライター兼訪問看護師。看護師歴30年以上。訪問看護は13年の経験があり、がんやその他の疾患での在宅看取り支援の経験も多数。

今回は絵里さん(60歳)のお話。退職後、ずっと考えていた英会話を習い始めました。

60歳からの習い事

学生時代、英語は苦手科目で苦労しました。社会人になって、世界中の人とおしゃべりして笑ったり、助け合ったりすることができたらどんなに充実するだろうと考えることが多くなりました。

時間もお金もなかったのでCDを買って通勤時間や隙間時間にリスニング。

なんとなく聞き取れるようになったものの、話せるようにはならず、途中でCDとは疎遠に。

ラジオやテレビの講座を見聞きして、覚えたフレーズを口に出す練習をするのですが、フレーズが活躍することはなくそのうち忘却。

 

今回は、英会話教室に行っている知人が、楽しいので絵里さんもどうかと誘われたのです。

社会人時代に何度も挑戦しては、途中でやめてしまった苦い経験を想起。

また同じことの繰り返しではないかと最初は気乗りしなかったのですが、知人の生き生きした表情に感化され、体験レッスンを受けに行くことにしました。

 

中央に受付とロビー、ロビーにはカウンターやテーブルがあり、数人の塊がおしゃべりしていました。

ロビーからつながる赤や緑、黄色の扉の横には閉じたブラインドがあり、レッスンをしている雰囲気を感じます。

オンラインレッスンの乾いた感じとは違う、留学している臨場感を抱きました。

カウンターに座ると、近くに講師が来て簡単な英語で挨拶のやり取りや、昨日何をしたか、それが楽しかったかなど日本語も交えて会話。

絵里さんの大体の英語レベルを見たようで、レッスンの時間になると黄色の扉の部屋に勧められレッスンを受けました。

 

楽しい時間が過ぎ、帰宅後、絵里さんは入会を悩みました。

今度こそは海外旅行に行っても楽しく買い物ができるようになりたいし、日本に来る観光客と小さな国際交流をしている自分、考えるとワクワクします。

 

でも、60歳。新しいことを覚えるより、忘れる方が多いとしたら、意味があるのかしら。楽しいだけで終わるのももったいないし。

60歳でも脳は進化する

知人からどうだったかと連絡がありました。

悩んでいることを伝えると、3つの励ましメッセージをくれました。

 

1、いくつになっても始められる

 

記憶を司る脳の「海馬」の神経細胞は、年をとっても増えることが分かっています。

単純な記号や数字を覚えることは年を取ると難しいのですが、これまでの知識と経験で関連付けて覚えるのは得意。

それに60歳ころまでは語彙は増えていき、その後も低下は緩やか。

 

これまでの経験や感じたことを、自分の持ち味を出しながら仲間と英語で交流しあうのは楽しいわよと言います。

 

2、「カナダのウォータールー大学」の実験の話

 

大学で1時間の講義を受けた後、時間を経過した翌日に10分かけて復習すると、講義直後に近い状態まで記憶が戻ります。

次の5日後には5分で記憶がよみがえり、1か月後には2~4分で記憶は復活するというものです。

 

英会話スクールで習ったことを復習するタイミングは、翌日に10分復習をして、次の週に5分、1か月後に2~4分が効果的だというのです。

脳の仕組みを利用して効果を高めるといいのよと励ましてくれます。

 

3、加速度的に知識は増える

 

経験を通し物事の上達をしていくプロセスでは、脳に作られる回路が単純な増え方ではなく飛躍的に増えます。

Aを覚えた後Bを覚えて使うようになると、AとBの2つを覚えただけではなく、Aから見たBと、Bから見たAも知ることになります。

こうしてCを覚えた時も関係性はもっと複雑になっていきます。もちろん継続して経験し続けることが大切です。

 

 

最初はほんの少しの単語や言い回しでも、確実に覚えていくことで、いつしかつながりあって大きな知識になる。

あきらめないで続けていくことが大切よと誘います。

 

 

絵里さんは考えました。これまで挑戦しても尻すぼみだった英会話。今度こそ六十の手習いで再挑戦してみよう。

知人を通して、英会話スクールのお友達も増えていきました。最初は話すネタを作るために美術館に行ったり本を読んだり頑張っていました。

徐々に日常の何気ない生活を英語で表現する楽しさを感じ始め、鉢植えのグリーンのことや今日の卵焼きのことなど、いつもの絵里さんを表現し生き生きと自然体です。

 

絵里さんは実感します。いくつになっても年齢であきらめる必要はない。

やってみたいことに挑戦して、新しい自分を発見するチャンスはいくらでも転がっている。

転がっているチャンスをちょっとだけ勇気を出してつかんでみよう。

 

< 了 >

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※本記事は個人の体験談をもとに作成されております。
※健康法や医療・介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず公的機関による最新の情報をご確認ください。
※記事に使用している画像はイメージです。

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