アルコール中毒だが、余命を宣告されている中、お酒は飲めますか?【老人ホーム】
今回の寄稿者さま

ペンネーム:ホーリー
プロフィール:介護職員歴約20年。有料老人ホームの介護職員を経て、現在は管理職に従事。

よくある質問ですが、老人ホームにて余命が宣言されているアルコール中毒患者はお酒を飲んでいいいのかについてのお話です。

 

 

「アルコール中毒」問わずお酒の管理はかなり厳しい

結論からお伝えすると、お酒はどのような理由でも自由に飲酒できません。

ほぼ全ての有料老人ホームではアルコールはきっちり「管理」しております。

しかし、稀に本人や家族の強い希望により飲酒が自由な施設も存在します。

また、もともとが飲酒が自由な施設もありますが、絶滅危惧種と言えるほど少ないのが現状です。

 

そもそもアルコール中毒者でなくても、お酒を「制限」している施設が一般的です。

また、お正月等に「楽しみの一環」として提供されることはありますが、それでも少量です。

飲酒のリスクを施設は考えています。

理由は、飲酒をすることにより、転倒、血圧上昇による意識障害、人間トラブルのリスクが上がるためです。

 

筆者は以前、毎晩一定量の飲酒なら、問題ないとする施設に勤めていたことがあります。

しかし、本人、他利用者、家族からの苦情やトラブルは跡を絶ちませんでした。

 

一定量とはいえ、飲酒をすることにより二日酔いになり、食事量が減る方もいれば、下痢になり失禁が増える方もいました。

家族の納得も必要不可欠

例え本人がそれでよくても、毎月のお金を出している家族側が納得できてないケースも多くありました。

 

そのため、施設側も、ある日を境に、毎晩の飲酒を禁止する方針を打ち出しました。

当時は、猛反発もありましたが、現在では毎晩の飲酒は禁止となり、かなり限定的な飲酒に留まっています。

 

最近の施設のあり方として、例え本人が「飲みたい」と言っていても、ご家族に訴えられる可能性がある以上、お酒を控えるのが一般的です。

 

「アルコール」に対して柔軟な対応をする施設も存在

しかし稀に飲酒の量を制限を全くせず、自由にしている施設もあります。

ごく僅かですが、そういった施設では「楽しみ」に重きを置いています。

「アルコール中毒」だが状況によっては対応が変化

また「アルコール中毒者だが、余命を宣告されている場合」等は、個別に対応している施設もあります。

具体的には「飲みたい」意思がある場合は、本人、家族に同意の上、医師と連携しつつ、問題のない飲酒量を確認し、許可する施設もあります。

 

その場合も、量を制限するケースがほとんどですが、飲酒を楽しむことが可能です。

施設も、考え方は千差万別で、特に有料老人ホームは、飲酒を自由にするところもあれば、管理する施設もあります。

 

飲酒に限ったことではありませんが、どんなに柔軟に要望にこたえる施設であっても「本人と家族の考えが一致」していることが前提条件になります。

ここでいう柔軟な施設とは「本人と家族が同じ方向を向いている場合」に、その方向に施設側が寄り添い、支援するというものです。

 

逆に「本人と家族の考えが一致していない」場合、どんなに柔軟な考えを持つ施設であっても、クレームに繋がる可能性があるため、飲酒に限らず、他のお願いを施設側にしても、許可が通りにくいといえるでしょう。

 

そのため、入居後であっても、本人と家族で意見が異なる場合は、まずは両者で話し合って方向性を決める必要があります。

施設は、コロナ禍であっても、家族と本人との話し合いの場を定期的に設ける役割もあるので、気軽に相談するとよいでしょう。

また、家族と本人だけでは話がこじれそうな場合は、定期的に開催されるサービス担当者会議(通称:サ担)で、ケアマネジャーを交えてお話をするのも一つの方法です。

 

もし、まだ施設に入居されていない場合は、事前に終末期における飲酒は自由か管理かも確認しておくと良いでしょう。

 

< 了 >

※本記事は個人の体験談をもとに作成されております。
※健康法や医療・介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず公的機関による最新の情報をご確認ください。
※記事に使用している画像はイメージです。

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