ペンネーム:ホーリー
プロフィール:介護職員歴約20年。有料老人ホームの介護職員を経て、現在は管理職に従事。
今回は介護施設入居者のお金の管理についてのお話です。
介護施設の利用者の年金管理は大半は家族が行っている
理由は、いくつかありますが、一番の理由は「認知機能の低下により金銭管理ができない」と判断される場合が主です。
これは偏見ではなく、医師や適切な検査結果、また目に見える行動によって、家族が管理するのが最良と判断されるケースが多い為です。
無論、認知機能の低下がなく、大金をキャッシュで持ち込んでもよいとする施設も少なからず存在します。
しかし多くの施設では、盗難や紛失など、施設側がメディアに晒された際に、世間的に責任の一端を追うリスクがあります。
そのため入居時に署名等で金銭管理は自己責任である旨をサインを求められるのが一般的です。
介護施設内の窃盗や紛失のリスク
今まで、介護職員の窃盗や、利用者自身の紛失は後を絶ちませんでした。
実際、私自身が10年以上前ですが施設利用者に「500万無くなった」と訴えられ、一緒に探したことがあります。
結論からいうと、その施設利用者の使用しているゴミ箱から新聞紙に包まれた500万円がでてきました。
もしあの時、利用者の言葉に耳を貸さず「認知機能の低下」と一蹴していたら、新聞紙に包まれた大金をゴミとして破棄していたかもしれません。
その入居者が500万円も持ってきていたことは、施設側も家族も知らなかったため、とても衝撃を受けた内容でした。
介護施設利用者の近年の金銭管理方法紹介
近年では、施設でも様々な金銭管理の方法が実施されています。
事例1
事前に、金銭の所持は自己責任であることを書面にて承諾していただく。
その後、利用者の自尊心を維持するために財布等に多くても数万円所持しつつ、使用後は、都度家族がその分を補充する。
何に利用したかは、都度、施設側と家族とも情報共有し、使途の不明金がないよう努める。
それでも、使途不明なお金がある場合は、現金を持たせない方向で、本人、家族、施設の三者で話し合いが行われる。
事例2
施設に、あらかじめ各利用者の現金を預かっておき、利用者が購入したいものがある時に、現金を渡す。
一見、良いことばかりと思われる「事例2」ですが、施設に利用者の現金を保管することには、「管理」という点で施設側が常にリスクを背負うことになります。
また銀行ではないため、法律的によろしくはありません。
事例3
通帳、印鑑、現金を一円も持ってきてはいけないと謳っている施設もあります。
「人権という点でいかがなものか?」と思われる方もいますが、家族はそれを「安心」と捉え、入居をすすめる方もいます。
いずれにせよ「金銭」という点において、まずは「本人と家族が同じ方向を向いているのか?」が求められます。
その上で、現在進行形で、施設側にはその意向を汲んだ仕組みづくりが求められます。
事例でわかるように施設によっても考え方は様々です。
もし、施設入居を考えられている場合は、「自由」か「管理」かの視点も加味して、施設選びをすることをお勧めします。
< 了 >
※本記事は個人の体験談をもとに作成されております。
※健康法や医療・介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず公的機関による最新の情報をご確認ください。
※記事に使用している画像はイメージです。