シニアのおしごと日和:第3回「50歳で保育士の資格を取得してみた」

シニア層でお仕事している人もしていない人も「他の人はどんな仕事しているのかしら~?」「私にも出来ることないかなぁ」なんて・・・ちょっと気になっていませんか?

そこで、お仕事している人やお仕事を探している人に「お仕事の話を聞いてみよう」という企画です。

第3回は 「50歳で保育士の資格を取得してみた」になります。

それではどうぞ。

 

今回の寄稿者さま

ペンネーム:ひよりん

プロフィール:62歳で会社を退職。今はフリーランス。コラムを書いたり、HPやカタログの製作をしています。ウォーキングとヨガは朝のルーティンに。黒猫シャロンとシニアライフを楽しんでいます。

いつも多忙な高山さん

いつも忙しそうに仕事やボランティアや地域活動をしている高山さん(仮名)。

「いつ、お休みしているのですか?」って聞いたら、

「う~ん? お休みの日ってないかも~」と笑って答える。

今回の取材もやっと時間をとってもらえたのですよ。

 

高山さんとはある勉強会でお席が前と後ろだったことがご縁。

講座が終わった後、話しかけようとすると、もう教室にはいない。

やっとゆっくりお話しできたのは、半年後の講座の最終日だったかしら。

その時には、たくさんお話しができたのですが、もっと聞いてみたいと今回改めて、取材のお願いをしたわけです。

 

50歳で保育士の資格を取得して、現在絵本の読み聞かせや紙芝居等の活動をしている高山さんのキャリアを語ってもらいました

 

 

自分の居場所を探して

私、結婚は早くて20代の前半には主人の両親と同居したのです。

主人は一人っ子。

同居を始めた頃から、お姑さんの過激な干渉が始まり、子供ができてからは一層ひどくなってきたのです。

子育てはダメ出しが多い毎日。

私は育児書ばかり読んでいました。

 

何とか周りの期待に応えなくちゃと。

それでも焦れば焦るほど、空回りと言うか・・・誰にも認めてもらえない。

義母との距離は遠くなっていくばかり。

 

ある時はこんなこともありました。

夫と子供と3人で出かけようとすると、必ず「ヨウコさん、まだ台所片付いてないし草むしりも残っているわよ」って。

3人で出してもらえないのです。

 

夫に言っても

「そうか・・・じゃ、しょうがないから先に出るよ」って言うだけ。

 

ある時は実家に帰った私が遅くなってしまい家に戻ると、を全部閉められてしまい、チャイムを鳴らしても出てくれないのです。

家に入れてもらえない焦る気持ちと自責の念でいっぱいになり、涙があふれて止まりませんでした。

 

そんなあからさまな意地悪も、いじわるされる自分が悪いのだと思ってしまっていたのですね。

 

今思うと、私との相性が悪いというだけでなく、息子を取られた嫉妬のような感情が強かったのでしょうね。

今だからわかることもあります。

 

それでもその当時は、そういう生活の中で、私も自信がどんどんなくなっていきました。

どうしたら義母に気に入ってもらえるのだろう

私のどこがいけないのだろう

そんなことばかり考える毎日で、どんどん自分を追い込んでいたような気がします。

子供も一人だったため、子育てまで自身をなくしていた時期がありました。

義母ともうまくいかない。子供に対しても自信が持てない日が続いていました。

 

そんな時、自主保育のサークルがあることを知り、思い切って仲間に入れてもらうことにしたのです。

そこで様々なお母さんたちと出会いました。

皆さんそれぞれがいろんな考え方をしている。

自分の話もしました。

みなさん、ちゃんと聞いてくれます。受け入れてくれました。

 

他のお母さんの話を聞いているうちに、自分は自分でいいのかもしれないと思うようになり、自分の心を開放すると人も心を開いてくれることを知りました。

みんなでお昼を持ち寄り、みんなとお喋りする時間の中で自分自身の肯定感が生まれてきて、こういう自分でいいのだって思えるようになって、初めての自分の居場所を見つけたような気がしたのです。

何かしたい 誰かの役に立ちたい

 

子供が小学校に入ったあたりから、PTAやボーイスカウト活動を夫と始めるようになったのがきっかけとなり、家庭外の活動にも目が向くようになってきました。

学童保育や保育園のアルバイトなどもしてみました。

そのうちにもっと、ちゃんと仕事したいなって思うようになってきたので、ハローワークの扉もたたいてみました。

 

40才を過ぎていたと思います。

 

私は、将来に役立つ資格を取りたいたけど、何が良いのかなぁと漠然と思っていたので、その気持ちを相談員さんに話したのです。

そうしたら、その時の相談員さんが素晴らしい方だったのだと思います。

「あなたは今まで妻としても 母としても嫁としても頑張って来たのよね。

でもね、それと同じくらい自分自身も大事にしてみて。

10年後 20年後はどうなりたいか、どんな生き方をしたいのか、よく考えて決めるのよ」ってアドバイスしてくれたのです。

 

この相談員さんとの 出会いが、そのあとの自分には大きく影響したと思います。

前を見て生きていいんだ!

素直にそう思えたのです。

その後、子ども好きの主人が「退職したら家で子どもを預かる〝保育ママ〟をしよう」と、2人で話していたけれど、残念ながら夫の病気でその夢は叶わなくなりました。

 

夫の死後、一人でも誰かの役に立てることを考えて、チャレンジしたのが保育士の資格取得でした。

保育士試験を目指す仲間は若い人が多かったです。

妊婦、教員、学生様々でしたが、娘のような若い人たちばかりでした。

あの頃、試験仲間たちが「頑張れ頑張れ」って応援してくれたお陰で、3年もかかってしまったけれど、50歳の時に資格が取れました

嬉しかった!

今までの経験が資格を取ったことですべてが繋がった

人生は 計画通りに行かないことばかり。

同居の義父母が相次ぎ痴呆症になり、介護生活20年。

やっと数年前、20年近く続いた 親の介護が一段落。

その間に夫をガンで見送りました。

20歳で母を亡くし、母がわりの相談相手の姉も3年前に亡くなる。

一人になってしまったけれど、自分のことを考える時間ができました。

 

今、週4日は保育園で保育助手として働いています。

ずっと正規職員でなく助手として働いてきたのは、時間を有効に使いたかったです。

この働き方が自分には一番良いと思っています。

 

子供に対して接し方の迷いは全くありません。

自信をもって子供達に接することができます。

この仕事を心から自分の天職と思えるようになっていました。

 

それは資格を取ったことで、自分のすべての経験がそこに生かされているという自信になっているからだと思います。

 

一昨年の4月から、地域の子育てを応援する関わり方を探していたら、区ファミリーサポートセンター援助会員研修と言うのを見つけました。

早速受けてみました。

その他、東京都子育て支援員研修や東京しごと財団ベビーシッター講習も受講し、配慮すべき児童の対応の仕方や保育の質をさらに高めるヒントを得ました。

また、仕事だけじゃなくて、この先の自分の人生がさらに豊かになるためにどうしたらいいかな・・・と、

あれこれ考えている時に出会ったのが、絵本の読み聞かせと創作紙芝居のボランティアサークルでした。

 

絵本の読み聞かせの勉強会に集1回参加。

劇団・紙芝居にも週1回参加して、絵本や紙芝居の奥深さに気づきました。

読んで歌って人に伝えるために、ボイストレーニングも始めています。

その合間に発表会もあります。

 

絵本の読み聞かせや素話を極めていくうちに、誰かのためにやっていたことが、いつの間にか、それは自分のためになっていることに気づいたのです。

実は一番自分の心が温かくなり癒されていたのですから。

この心地よさ、まわりの人にも届けたいと思っています。

いろんな経験をしてきた今だから、いろんなことが人のために生かせるのだと思っています。

辛いこともたくさんあったけれど、だからこそ誰かの役に立てるのだと思います。

無駄な事なんて何もなかったのですよね。

誰かの役に立ちながら、イキイキと前を見て進む生き方をしていきたいと思っています。

各種支援サービス

高山さんの生き方、素晴らしいですね。

すでに70歳近くになられてますが、まだまだ元気に自転車で街を走り回っていらっしゃいます。

人生これで良しってことはないのですよね。

まだまだやれることがありそうです。

 

さて、お話しに出てきた支援センターや研修などが、興味のある方は以下をご覧ください。

 

東京都子育て支援員研修

東京都では、保育や子育て支援の仕事に関心を持ち、地域で保育や子育て支援分野の各事業に従事することを希望する方、又は従事している方を対象に、必要な知識や技能等を修得した「子育て支援員」を養成するため、令和5年度子育て支援員研修(第1期)の受講生を募集します。HPより。

本研修を受講し、「子育て支援員」として地域で活躍してみませんか。

公式サイトはこちら

 

ベビーシッター利用支援事業

子どもが保育所などに入所できるまでの間、保育所などの代わりとして、東京都の認定を受けたベビーシッター事業者を利用する場合の利用料を一部助成する支援事業を開始しました。

本事業は、東京都、公益財団法人全国保育サービス協会、渋谷区が連携して実施しています。HPより

公式サイトはこちら

 

レポート by ひよりん

< 了 >

※本記事は個人の体験談をもとに作成されております。
※健康法や医療・介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず公的機関による最新の情報をご確認ください。
※記事に使用している画像はイメージです。

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