ペンネーム:あきこ
プロフィール:ライター兼訪問看護師。看護師歴30年以上。訪問看護は13年の経験があり、がんやその他の疾患での在宅看取り支援の経験も多数。
今回は訪問看護師のお話です。
私の看護師仲間は40~50歳代が多く、おしゃべりの内容も自分におこるカラダの話になることも多いです。
お互いに分かり合う専門用語も入れながらのおしゃべりを記事にまとめました。
訪問看護師ってどれぐらいいるの?
看護師登録で働いているおおよその人数は、2020年の統計で128万人です。医師の登録者数は33万9千人。
看護師の年齢層はどのくらいでしょう。
20~30代が47.1%で40~50代が44.5%です。
働いている場所は、83.7%が病院や診療所で、大多数を占めます。
訪問看護ステーションと言って、お宅に訪問して看護を行う看護師の割合は4.6%で5万3千人くらい。
訪問看護ステーションの看護師は管理者を除いても、40代以上が7割を占めています。
病院の看護師の場合は20~30代が半数を超えることから、訪問看護師は年齢層が高いことが分かります。
40~50代の訪問看護師が集まると…
40~50代の人間集まると、大体からだの話が始まります。
最近多いのは、むせた話。
お昼やおやつ、お茶やコーヒーを食べたり飲んだりしている時にむせます。
おしゃべり中、自分の唾液を不覚にも吸い込みむせこむなど、毎日誰かがむせています。
喉の老化は40代から始まると言われていますので、40代、50代の仲間にとってはよくあることのひとつ。
スポーツ庁が毎年「体力・運動能力調査 」をしています。
筋力を簡便にみる握力の項目を見てみると、40歳くらいをピークに緩やかに下り坂。
筋力の低下は全身におこるため、喉の筋肉も含まれているのです。
食べたり飲んだりするときにも、私たちは筋肉を使用しています。
噛んだり舌を動かしたりして、食べ物をまとめ上げるときには、はっきり意識するでしょう。
ゴックン。食道に送りこむときにも、気管と食道の交差点にある喉頭蓋(こうとうがい)という蓋(ふた)が、筋肉の力で気管に食べ物が入らないよう閉鎖。
たくさんの筋肉が力を合わせ、絶妙なタイミングを計りながら、飲み込みが成功しています。
筋力が低下すると、喉頭蓋が閉じるのに時間がかかったり、タイミングをミスしたりして、気管に食べ物や飲み物が入ってしまいます。これが誤嚥(ごえん)です。
誤嚥による肺炎を誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)と言います。
誤嚥性肺炎の対策
誤嚥性肺炎には不顕性肺炎(ふけんせいはいえん)と言い、知らないうちに気管に唾液などが入ってしまうこともあります。
免疫の力で肺炎の症状が出ないこともありますが、むせずに気づかないうちに肺炎になっているのです。
飲み込みに懸念が無いかを調べる方法として、反復唾液嚥下テストがあります。
のどぼとけの少し上にやさしく指をあて、唾液を飲み込むときにその指を超えてのどぼとけが動くのを確認します。
30秒間に何回唾を飲み込むことができるかを数えます。3回以上は異常なしですが、40~50歳代で病気がない方であれば6回以上できると安心ですね。
喉の筋肉を鍛える方法としては、嚥下のおでこ体操があります。
おでこに手のひらの付け根を当てて押し合います。おでこは下を見るようにし、のどぼとけの周りに力が入るように5秒間。10回行います。朝昼晩にすると効果的。
大きな声で「パ」「タ」「カ」「ラ」と言うことも、喉、食道の筋肉が鍛えられます
パは、唇をしっかり閉めて破裂するように、5回言います。
同じようにそれぞれ5回ずつ注意点を意識しながら発声します。
タは、舌の先の力を意識して。
カは、喉の奥に力を入れて。
ラは、舌を巻くような意識で。
また仲間がむせました。
「ゴホッゴホッ、ウッ、誤嚥した・・・ゴホッ!」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫よ、しっかり咳嗽反射(がいそうはんしゃと読み、気道の異物を排除するための防御反応で、むせることです)があったでしょう。まだ大丈夫ね。」
むせながらしゃべりながら笑います。
年を重ねても、仲間と楽しくおしゃべりし、おいしい食事をよく噛んで、笑顔がこぼれる口元を保ちたいですね。
20年後、30年後のために、おでこと手の押し合いと、「パタカラ」を続けます。
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※本記事は個人の体験談をもとに作成されております。
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