ペンネーム:菜緒
プロフィール:51歳主婦。夫と娘の3人暮らし。実家の母の介護を手伝っています。
認知症の人の数は厚生労働省によると毎年増加傾向で、今や誰がなってもおかしくない病気になりました。
私の母も認知症です。今回は認知症の母(当時75歳)を私の家で1週間ほど預かった時の話をします。
認知症の母が我が家にやってくる
妹が友達と旅行に行くことになったある年の年末。
いつもお世話になっているデイサービスが年末年始は休業するとのことで、私の自宅で1週間母をお世話することになりました。
週末になると母は私の家に遊びに来るのですが、1週間のお泊りにやってきた今回は家の中がいつもと違う雰囲気なのを察知した様子で落ち着きがありません。
恐らく不安なのでしょう。
これは波乱の予感がします。
母の大好物のようかんでご機嫌を取りながら、母の話を聞いてみました。
私:「今日はここに泊まるんだよ」
母:「えー。ここって初めて来たんだけど。娘はいつ迎えに来る?私、もう帰りますね」
完全に、ここがいつも遊びに来ている長女の家だということを忘れていました。
そのうえ、私を母の娘だとは思っていない様子です。
デイサービスのスタッフさんだと思っているのでしょう。
しかし、認知症とは不思議なもので、孫のことはわかります。
私の娘のみーちゃんがいるので、今日はここにいてもいいと言う母に、安堵しながらも少し釈然としない思いを抱えながら、母のお預かり1週間がスタートしたのです。
認知症になっても、孫のみーちゃんが大好きな母は、みーちゃんとご飯を食べたり、散歩に行ったりと楽しそうににこにこしながら3日ほど過ごしていました。
認知症の母、夜に叫ぶ
なんとか無事に1週間乗り切れそうだと思っていた夜、事件は起こりました。
孫のみーちゃんの部屋で寝ていた母は、突然起き上がると大声で叫んだのです。
母:「助けて!ここ、どこ?トイレに行かせて!!」
なぜかドアではなく、カーテンを開けて大騒ぎしていました。
この夜、慣れない私の家で過ごす母の不安が爆発したのです。
認知症のため、ここが自分の長女である私の家であることを忘れた母は、自分がどこにいるのかわからなくなって泣き出しました。
トイレに行って少し落ち着くと、先ほど取り乱したことをすっかり忘れた母は、
「まだ外が暗いね。夜?もう少し寝るね」
とご機嫌で孫のみーちゃんの部屋に戻りました。
私と私の娘のみーちゃんは安眠中をたたき起こされ、翌日寝不足になったのは言うまでもありません。
その後、元旦に妹が迎えに来るまで毎晩夜中の2時に起きてはトイレを探す母でした。
認知症は、短期の記憶の保持ができなくなります。
1分前の記憶もなくなることもよくあることで、今回のように自分がどこにいるのかわからなくなることもよくあります。
身近で見ていてよく知っているますが、やはり夜中に騒ぐのはやめてほしいと思った出来事でした。
< 了 >
※本記事は個人の体験談をもとに作成されております。
※健康法や医療・介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず公的機関による最新の情報をご確認ください。
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