現役看護師でイラストレーター「ソファちゃん」の『ある日の介護日誌』の第三話です!
脳出血で入院中のおばあちゃんが退院する日が近づいてきた。おばあちゃんは失語症、片麻痺の症状があるため、介護が必要だった。おかこは激務と子育ての合間で介護に向けての準備を始める。
前回のお話はこちら
登場人物紹介
- 登場人物
- おばあちゃん
69歳。アル中。アジフライを世界一美味しく作る。 - ソファちゃん
12歳。小学生。ご飯は3杯食べる。 - おかこ
母。シングルマザー。仕事を2つ掛け持ちしている。 - ニコちゃん
兄。ポヤポヤしている。ゲーム無いと無理。 - おじい
祖父。酒屋の店主。免許返納して店番中心。 - まあちゃん
従業員。 - アッちゃん
叔父。従業員。糖尿病による膵炎で入院し激痩せ。 - レンくん
叔父。消防士。 - フミくん
叔父。 - 朝倉さん
ケアマネジャー。
お家に帰ろう
「おばあちゃん、もうすぐ退院できるよ」
夜勤から帰宅したおかこが言った。
「え!本当に?すごいじゃん。元気になったんだ〜!」
「元気、と言えば元気か...まあでも、おばあちゃん、もう喋れなくなっちゃったし、自分では歩けないから。ソファちゃんも助けてよね。」
「うん。でも自分で歩けないのにどうやってトイレ行くの?みんなでおんぶするの?」
「ケアマネの朝倉さんと計画してるから、ちゃんとソファちゃんやみんなが困らないようにしてるから。」
ソファちゃんはもうすぐ小学校の卒業式を控えていた。
(もうすぐ中学生かあ。部活は何しようかな。給食がなくなっちゃうのはさみしい。お弁当は大きいやつにしてもらわないとね。)
ソファちゃんは自分のことで頭がいっぱいのお年頃である。
おかこは当初、子どもたちを介護の戦力としてカウントしなかった。
"家族が頑張らなくても、なんとかなる介護"を目指した。
「おかこさん。要介護5の認定がおりました。介護サービスのプランをつくりましたので、打ち合わせに伺ってもよろしいですか?」
ケアマネジャー朝倉さんは、不規則なシフトで勤務するおかこに時間を合わせて、家に足を運んでくれた。
「さて、お母様(おばあちゃん)がお家に帰るためには、"手すりに捕まれば立位保持※1ができる"程度の身体機能が必要です。お母様は回復期病棟※2へ転棟して、重点的なリハビリをすることになったそうですね。」
「そうなんです。いつ帰ってこれるのか、どうやったら帰ってこられるのか...。うちほ手すりもないですし。」
「その手すりを設置するため、介護サービスを利用しましょう。おかこさんの場合は、1割負担で設置できます。」
※1 立ち上がった後に、手すりに捕まり平らな床の上で立位を10秒程度保持できるかの能力。
※2 自宅や社会に戻ってからの生活を少しでも元に近い状態に近づけるためのリハビリテーションを専門に行っている病棟
また、日中ずっと付きっきりで介護をすることはできないため、月曜から土曜は毎日デイサービスへ通所、日曜日は家族で食事と排泄の世話をするというプランを組んだ。
ケアマネジャー朝倉さんの大活躍により、ここまでの生活を整えることができた。
おかこはケアマネジャー朝倉さんを紹介されてから、おばあちゃんの退院日まで何度も打ち合わせをし、二人三脚で準備を整えた。
<続く>
※この物語は、ソファちゃんの経験をもとにしたフィクションです。
ペンネーム:ソファちゃん
職業は中堅の病棟看護師です。
普段は子育てをしながら、看護師をしつつ、SNSに絵をアップしたり、ご依頼を受けて漫画を連載させていただいております。
Instagram:instagram.com/_sofachang/
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※本記事は個人の体験談をもとに作成されております。
※健康法や医療・介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず公的機関による最新の情報をご確認ください。
※記事に使用している画像はイメージです。