【高齢者】おじいちゃんは亭主関白【大腸がん】
今回の寄稿者さま

ペンネーム:田舎の看護師

プロフィール:男性看護師、看護師歴6年、26歳。急性期内科、消化器外科を経験し整形外科病棟にて現在勤務しています。

今回は大腸がん手術後1週間経過で創部処置・食事療法中の80歳代前半のおじいちゃんのお話です。

高齢者はバリバリ亭主関白世代

現代のおじいちゃん、おばあちゃん世代は亭主関白の世代であると、看護師をやっていると時々思うことがあります。

今でこそ、家庭では女性の方が強いという家庭が多いかもしれませんが、特におじいちゃん、おばあちゃん世代は男の人が強いという印象があります。

看護師という職業柄、そういった機会をよく目にします。

実際に、女性の看護師のいうことはまったく聞かないけど、先生や男性看護師がいうと納得するおじいさんがいます。

なので、看護師の内部事情ですが、少し困ったなと思う患者さんの対応はベテランの看護師か、男性看護師が対応することが多いです。

これは私の偏見なのですが、亭主関白であったおじいちゃんの多くは頑固、わがまま、短気の3拍子が揃っていることが多いです。

また、病的に性格が変わってしまうケースもあります。年齢を重ねることで、脳の萎縮により前頭葉の機能が障害されて性格が変わり、攻撃的になってしまう人もいます。

そして、一番やっかいなのは、お酒好きでアルコールに対し依存的な人です。

長い入院の中で、お酒が飲めなくてイライラして看護師に対しあたってくるケースです。

 

私たち看護師は、様々な患者さんに対しアセスメントしながら日々対応しています。

 

高齢者でもお酒を飲みたい!

今回登場してくる、Aさんは大腸がんにて腹腔鏡の手術をしました。

術後の経過は良好で、おおよそ2週間程度で退院できる流れでした。

まだ傷が痛みますが、身の回りのことが自分で行うことができ、食事も問題なく摂取していました。

Aさんは80歳代前半で年相応の物忘れがあるもののしっかりしていました。

 

そんなAさんでしたが、手術後1週間程経過したところに事件は起きました。

私はナースステーションにいたのですが、なにやら遠くから怒鳴り声が聞こえてきたのです。

 

はじめは、あまり気にかけなかったのですが、次第にヒートアップしてきたので駆けつけてみると、後輩の女性看護師にAさんは「おれはもう帰るからな!」と言い興奮していました。

私含めた3人のスタッフで、元気にはなっているけど、まだまだ入院は必要であると説明しましたが納得しませんでした。

どうやらAさんは、ある程度動けるようになり帰りたくなってしまったのです。

 

これは、あとから知ったのですが、どうしても帰ってお酒が飲みたかったそうです。

一度興奮状態となり、スタッフの説得の声も届かなくなってしまったAさんは、とうとう病院から出てしまったのです。

こうなると、スタッフは大慌て。体格も大きく、暴力の危険もあるため私と後輩の男性看護師2人でAさんを追いかけました。

 

Aさんをなんとか止めようとしますが、Aさんはどんどん自宅の方へ歩いていきます。

しかし、Aさんは手術後の状態で少しふらふらと歩いており、車道へ倒れそうになったりしました。

そしてついに、車にひかれそうになったので2人がかりで車道と反対側の草むらにAさんを抑えながら倒れこみました。

正直、車から見ていた人は何をしたのだろうと驚いたと思います。

それもそのはず、病衣を着た患者と男の看護師2人が揃って草むらに倒れているのですから。

 

命の危機は免れましたが、結局Aさんの奥さんが現地まで迎えに来て、強制退院という形になりました。

心穏やかに老後を過ごしたい

今回のAさんは、元々頑固である上に短気な性格であったそうです。

まだまだ短い看護師歴ですが、こんな事そうそうありません。

私がこの経験を元に伝えたいことがあります。

 

どんな人生を送ってきても、どんな性格であろうと他人に迷惑はかけないでください。

 

少し厳しい言葉になってしまいますが、今回の経験でつくづく思いました。

私も将来そう思われないように、心がけていきたいと思います。

 

車道の反対側が草むらで本当に良かったです。

 

< 了 >

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※本記事は個人の体験談をもとに作成されております。
※健康法や医療・介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず公的機関による最新の情報をご確認ください。
※記事に使用している画像はイメージです。

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